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夜。見張りを交代した俺は、焚き火を見つめていた。
「寝ないの?」
いつの間にかロザリカが起きていた。
「マヌケな質問だな。俺が寝たら護衛の意味がない」
「マヌケで悪かったわね」
憮然とした表情で俺の向かいに座る。
「君こそ寝ないのか、疲れただろ?」
「まぁね。ちょっと、気になる事があって…」
「気になる事?」
たいして興味は無いが、暇なので聞き返す。
「あなた達のことよ。一体何者なの?」
「くだらない疑問だな。どこにでもいる、その他大勢の異端者だよ」
欠伸を噛み殺す。俺達の事よく知ってるんじゃないのか?
「私が知ってるのは、凄腕の何でも屋で異端者ってことだけ。誰がどんな能力を持っているかなんて知らないわ」
「知りたいのか?」
「少し、ね」
やれやれ。まぁ、暇潰しには丁度いい。
「…俺の能力は、さっきも言ったが、影を操ったり、幻をみせることだ。影の中に入ったり、身に纏うことも出来る」
ロザリカが頷き、先を促す。
「アニーは見た目は分かりにくい能力で、あらゆる物体を弾丸に変えることが出来、銃自体も違う形状に変化させられる。この能力のお陰で弾切れになる心配が無い」
欠伸をしつつ続ける。
「ブラムは気を操れる。体内の気の流れを制御して手足から放出し、敵を倒す。気は刃状にも出来るし、飛ばす事も可能だ。治療にも使える便利な能力だ…こんな感じだな。さぁ、もう寝ろよ」
焚き火に小枝を入れ、伸びをする。
「あと一つ。彼女のことだけど」
視線をブラムに向けて、逸らした。何だ?。
「あの…彼女は、一体…」
そんなことか、やっぱりくだらない。
「あいつは、スラムの出身なんだ。子供の頃から、その日生きるので精一杯だったらしい。食える物は何でも食ったって言ってたな」
「かわいそうな話ね」
その言葉を頭を振って否定する。
「本当にかわいそうなのは、人を信じる事が出来なかった事だ。今でこそ仲良くやってるが、出会った頃は酷いもんだったよ。」
「えっ?」
「初めてあいつを見たとき、俺はモンスターかと思ったよ。血まみれで髪はボサボサ、目は異様にギラついて」
ロザリカが我知らず震え、顔も青ざめている。
「その時に手掛けてた仕事で、情報集めてたんだが…声をかけようとした途端、襲いかかってきて大変だった。今思うと、あいつが一番手強かったな」
当時を思いだし苦笑する。
「どうして今は一緒にいるの?」
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