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俺がロザリカを連れて事務所に戻ると、二人の相棒は既に帰ってきていた。
「早いな、ご苦労さん」
報告書を届け終わり、くつろいでいるアニー達に労いの言葉をかける。
「報告書届けるだけよ、すぐ済むわ」
悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「で、ガルはデートぉ?いい身分~。アタシらにだけ働かせて~」
「二人して皮肉かよ…ってか、違うし」
「あ、あの…」
ロザリカが居場所無さげに呟く。
「ん?あぁ、失礼。お前ら、客かもしれない方だ。話聞くぞ」
「それじゃあまず、依頼内容を聞かせてもらえるかな?」
ロザリカを椅子に座らせ、ガルシアは向かいに、アニーは出入口前に、ブラムは二つある窓の間に各々立つ。
「はい。実は最近、領内から遺跡が発見されまして。そこの調査に同行してもらいたいんです」
つまり護衛の依頼。しかし、それは妙な依頼だ。
「護衛なら、探索ギルドにも人間はいるはずです。そちらに頼めば良いのでは?その方が余計な金を使わずに済む」
「もちろん初めはそうしましたが、駄目でした」
「どういう意味です?断られることは無いはずですが」
「それは…」
言葉を詰まらせ、俯いてしまった。
「言いたくないなら無理には…」
「全滅したんです、調査隊」
穏やかじゃないな。遺跡の調査には危険が伴うのは必定、それ故護衛は手練れ揃いのはず。それが全滅…そんな話は聞いたことがない。
「重症を負って戻ってきた者の話によると、たった一人の人間…しかも少女にやられたと。その者も今朝、死んでしまいました」
はっきり言ってありえない。モンスターの大群というのなら、まだわかるし納得もする。だが実際は違う。
「あなた方はギルドの護衛員よりも強いと聞いています、お願いします」
「正解。でも、そんな所に私達だけで行けと?残念だけど、私達は自殺志願者じゃないわ」
「そうだよ。ムチャクチャだよ」
二人の言っていることは当然だ。確かに、俺達はそこらの護衛員に負けはしない。
しかし、そんな危険な場所には行きたくないってのが本音。仕事が欲しいのも本音。
「二人はこう言ってるが、お請けしようと思います」
「ガルシア!?」
「ガル!?」
異を唱えようとした二人を手で制し続ける。
「無論それだけ危険な場所に行くわけですから、報酬はそれなりに頂きます。よろしいですか?それと、見ての通りこの人数ですから、護衛出来る人数はせいぜい二人。了承してもらえますか?」
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