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少年が札を空へ翳し大声で叫ぶと、黒髪の青年は光に溶けるように姿を消す。
瞬間、目の前を切り裂くように光が落ち、天井や床、壁、柱などが弾け飛んだ。
そして辺りに轟音が響く。
その後部屋の中で光の量は徐々に増していき、視界は白く、目を開けている事さえできない程眩しいものに満たされていった。
*****
「全く、何を考えているんだ」
しんと静まり返った屋敷の中で、男の声が大きく響く。
それは怒りに満ちた、口答えなど許されない雰囲気であった。
「混乱の中で、お前の姿を見た者が居なかったから良かったものの、もし見つかっていたら死罪も免れないのだぞ」
その後も男は勢い良く言葉を続けた。それも鼻息も荒く、怒りを止められずにいる様子である。
「しかも依頼主の屋敷を半壊にしてしまうとは、あってはならない事だとは思わぬのか」
そして男は、一喝を叩きつける。
叩きつけられた相手は、しゅんと肩を落としていた。
それは長い黒髪をおろしたまま整えた、袿姿のかわいらしい少女。
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