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フェビアンと呼ばれるこの国は、世界の西側に位置する大陸の中に存在する。
それも大陸のほぼ半分を支配する大国で、貿易がさかんな商業国である。
首都である【グレイス】は南に位置し、港に近い場所に存在する。
そこは噴水を中心に広場が周りを囲み、北に神殿、南に酒場や宿屋などが存在する商業区が広がる。
また東には、王城がそびえ、周囲に貴族達の居住区が存在し、そして西側に平民達の居住区が広がっていた。
*****
それは、空が白み始めた早朝。
しかもまだ家に火は灯っておらず、辺りには薄闇が広がっている。
そしてとても静かな、涼しい空気が辺りを包んでいた。
遠くで鳥の鳴き声だけが小さく響く。
そうまだ人々も眠りを貪っている時刻である。鶏でさえも眠っているかもしれない。
そんな時刻であるにも関わらず、ふいに辺りにガラゴロと木のぶつかる音が響いた。
次いで水の波打つ音が聞こえてくる。
その音の中心に居るのは少女であった。
凛とした整った顔立ちの中に、まだ幼さが残している少女。
その出で立ちは、和風な布で作られた袖を飾り紐で繋ぐ、ノースリーブのニットにかぼちゃパンツという特殊なもの。
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