仕事を探そう。

7/37
前へ
/434ページ
次へ
 ギルティアは空を見つめ、考えるようにそう呟いた。  すると美琴は感心しているような、驚いているような表情を見せている。 「歌を歌って暮らしているのか?」 「そう」 「そんな事で、お金を得る事ができるのか?」 「上手ければな」  美琴は、好奇心に満ちた瞳をギルティアへ向けていた。  そして矢継ぎ早に質問を投げかける。  「誰でもなれるのか」「収入はどのくらいか」「どこに住むのか」「旅行ばかりしているのか」などいろいろな細かい質問を。  ギルティアは、唸るようにその質問に答えていた。  しかし結局のところ「本人に聞いてくれ」としか言い様はないのであるが。 「美琴、お前吟遊詩人になりたいのか?」  ギルティアは、うんざりしているような表情で呟く。  すると美琴は、興味なさそうに首を横に振った。 「私は、陰陽師になりたくて修行しているのだ。他に代えるつもりはない」  ギルティアは、ぴくっと眉を上げる。 「お前なぁ、それならそんなに聞くなよ。話が進まないだろ?」
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!

386人が本棚に入れています
本棚に追加