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「でも面白そうだと思ったんだ」
しかし美琴は、悪びれもなくそう答える。しかも何を怒っているのか解らないといった様子で。
「だから、そんな事を話してるんじゃないって言ってるんだ」
「いいじゃないか。何事も興味を持つから学べるんだぞ」
「だからぁ~」
美琴の態度にあぁーっと呻きつつ、ギルティアは髪を掻き毟った。ひどくイライラしている様子である。
「とにかく、シウに会いに行けよ。あいつは、旅の中で仕入れた情報を売ってるから。……お金は、少しは持っているのだろう?」
「あぁ、手伝いでもらった駄賃を貯めてあるからな」
美琴は、腰に手をあて自慢するように言い放つ。
それに対しギルティアは、もはや呆れて何も言えずにいた。ただ美琴の顔を見、ため息をつく。
「ありがとな、ギル。とにかくシウとかいう奴に会ってみるよ」
美琴は、満面の笑顔をギルティアに向けた。それもとても無邪気な笑顔を。
そして振り返るといそいそと家へと歩き出した。しかも小さなガッツポーズをつくり、零れる笑みを隠せない様子で。
美琴の姿を見送るギルティアは、力なく肩を落とした。しかも疲れたような表情を見せて。
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