仕事を探そう。

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「これしか、お渡しできるものはないんですが」  そう話し、ミゼルオーラが袋をひっくり返すと、中からピアスが零れ落ちた。  それはとても大きな翡翠が一つずつ飾られたピアス。  そしてそれは、とても高価なものである事が一目でわかるほど綿密な細工を施されていた。 「これは?」  リュミレスは、不思議そうにミゼルオーラを見返す。  何故かミゼルオーラは、ほんの少し顔を赤らめていた。 「いただいたのです。……ある貴族の方に。でも神官見習いである私が、このようなものを飾ることはできません。あの方は、有効に使ってくださいとおっしゃってくださいました。ですから、これで支払いをさせていただきたいのですが、……無理でしょうか?」  ミゼルオーラは、自信なげにリュミレスを見る。それは、無理かもしれないと考えているように。  その様子に、リュミレスは忍び笑いをもらす。 「それでは、払いすぎね。それにまだ、そのお姫様も見つけてないのだから。まずお姫様を見つけて、……支払いはそれからで良いわ。かかった経費もすべて、その時に支払ってもらいますから。……それまでに他の物が用意できるようなら、探しておいて」  その答えに、ミゼルオーラは満面の笑みを顔に浮かべた。
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