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『ママ、クノッペルさんが亡くなったら、あのお家はどうなるの?』
インゲは
娘の顔を見つめながら言った。
『なぜ、そんなことを気にするの?あなたには関係ないことじゃなくて?』
『でも、ママ、』
『ガブリエラが悲しむわ。ひとりぼっちなんだもの。』
言葉を失うインゲ。なぜガブリエラのことを知ってるの?
殺人現場の小さな足跡…メラニーが何かを知っているとしたら?
そんなはずはない!
『メラニー、あなた、一体、何をしたの?何か知っているのね?』
『しらないわ。』
『じゃあ、答えて!なぜネグリジェを隠したの?』
『ママはガブリエラをみつけたのね。あの子、私のことをインゲって呼ぶの。』
メラニーの目が、一瞬、夢の中の人形のように光ったように見えた。
何か恐ろしい事が起きている!
『なぜあの人形がうちにあるの!?』
インゲの心のどこかで、
《思い出して、あの日のことを…》
と繰り返し語りかける声が響いた。
『いやよ、なにを思い出すの?メラニーを巻き込まないで!』
インゲは正体の分からないものに向かって叫んでいた…
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