インゲの思い出

3/3
前へ
/52ページ
次へ
血染めのベッドに、ガブリエラとその母親が寄り添うように 眠っていた… あの時部屋にあった何体ものビスクドール。たくさんのガラスの目… 恐ろしさに、インゲは悲鳴をあげた。 母親は頸動脈の切断で失血死、ガブリエラは大量の薬を飲まされてこん睡状態だった。 娘を道連れにしての自殺? 意識が戻っても、ガブリエラは何も見ようとせず、病院のベッドで、まるでビスクドールのように表情ひとつ変えずに座っていた。 あれからガブリエラがどうなったのか分からない。亡くなったとも聞いた。ただ一人残されたクノッペル氏は、めったに外に出ることもなく、あの家に閉じこもってしまった。 事件のあと、インゲは一度だけクノッペル邸を訪れたことがあった…
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加