ダンデライオン

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家に帰ると、珍しく父親が帰っているらしく、玄関に黒い革靴が一足あった。 わたしは何日ぶりやっけ?と指折り数えながら、ローファーを脱いでリビングに入る。 「あら、おかえり」 「おかえり、ユズ」 「ただいま。おかえり父さん」 「ただいま」 ちょっと可笑しな挨拶を交わして、テーブルに鞄とイチゴミルクを置き、いちごを冷蔵庫に入れてからソファに腰を沈ませた。 テレビは付いているのに母親は雑誌を、父親は新聞を読んでいる。 わたしはテレビのリモコンを手に取って、今までついてたニュース番組からチャンネルを適当に回してみた。 けれどこの時間に面白い番組は何もなくて、ついてても仕方ないからと電源を消す。          
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