エンドレス鬼ごっこ3

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「武藤君」   「なに?」   「無口だね」   「あ、うん、ごめん」   「何考えてたの?」   彼女は、足を止めておれのほうを振り返る。 乱れた髪をその細い指で耳にかけ、見えた顔は、屈託なく笑っている。 すねているのは声だけで、彼女はこれっぽっちも怒ってなどいないのだ。 彼女は、そういう人だった。   「ごめん、ぼーっとしてた」   「武藤君がぼーっとしてるときって、顔怖いんだ」   少しだけ声を立てて笑い、彼女は髪を右手で整える。 伏せたまつげは長くて、うっすらとした化粧がそれを際立てていた。 彼女は、かわいい人だった。
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