エンドレス鬼ごっこ3

4/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「眉間にしわでもよってた?おれ」   「眉間にしわどころか、眼が死んでたよ?」   くくくっと、こらえるように笑う彼女を見て、おれはあの人のことを思い出していた。 あの、大口を開けて笑う人のことを。 おれはそれを振り切るように、彼女の方を向いて笑って見せた。   「うん、笑ってるほうがいいよ、武藤君は」   「ぼーっとすると眼が死んだ魚みたいらしいからね、おれ」   「そんなこと私言ってないよ~!」   「そうだっけ」   「確かに見えなくはなかったけど」   「言ってなくても思ってたんじゃん」   「冗談だよ~!」   楽しそうに笑う彼女は、自然で。 笑いすぎてよろめく彼女は、危なっかしくて。 笑い涙をにじませた彼女は、頼りなくて。 おれは弾んでいく会話に拍車をかけるように話し続けた。     もしかしたら、好きになれるかもしれない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!