世の中から消えた日

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猛は1年前までは小さな会社に勤めていたが、会社が倒産して無職になった。 職安の雇用保険と少しばかりの退職金で数ヶ月間は、まともな生活が出来ていたが… 半年前からは雇用保険も切れ、家賃等を支払える状況でもなくなり… ここ数日は、日々の生活も危うい毎日が続いていた。 そして…  今日。 ついに住む場所もなくなり、 猛は、途方にくれてしまった… 「どうしようか…」 猛は一人呟き考えた。 管理事務所に連絡しても家賃を払える見込みはなかった… 猛の両親は早くに亡くしていて、兄弟も親戚もなかった。 上京して来たので近くに親しい友人も居なかった。 倒産しているので、 当然、前の会社の人に頼む事も出来なかった。 そう、猛には、頼るべき人が誰も居なかったのである。 (家財道具といっても、お金になりそうな物は質に入れて何もないし…) (このまま連絡しなきゃ家賃を払わなくてもいいのかな…) そこまで考えた猛は、当たりを見渡し、その場から逃げるように立ち去った。
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