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「マッチは入りませんか? マッチ…」
寒風吹きすさぶ中、一人の少女が、道行く人々に声をかけていた。
服はボロボロで、身なりも綺麗とは言えない。
少女が持つ籠の中には、マッチが山のように残っていた。
全く売れていないのだ。
「…マッチ、いかがですか?」
懸命に声をかけるも、立ち止まる人はいなかった。
少女は目についた二人の青年に駆け寄った。
「マッチ、買ってください」
二人の青年は少女が気の毒に思ったのか、籠の中に紙幣を投げ込んだ。
「マッチは入らないから取っておけ」
青年の一人がそう言ったのだが、少女はお金だけを受け取らなかった。
執拗にマッチを青年に渡そうとする。
青年は断っていたのだが、少女の熱意に根負けし、苦笑混じりに受け取った。
その時。
青年二人の手首に、鉄の輪が煌めいた。
少女の顔に会心の笑みが浮かんだ。
「闇商人のフェイス、ならびにヴァイ。御用じゃ!」
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