STAGE‐2

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  嫌な記憶が甦る。 フェイスとヴァイの両人に直接手錠をかけたのが、長官本人だった。 「こんな子供が…?」 セリカも言葉を失う。 少女は気を悪くした様子もなく、胸を張った。 「目から見える情報に囚われてはいかんぞ、お嬢さん。こう見えても中身は立派な大人じゃ」 小さな手をセリカに向かって差し出す。 「特殊警察庁長官のハルじゃ。よろしくな」 「どうも…」 ハルは一種の病気で、外見の年齢の頃に成長ホルモンが異常をきたし、成長そのものが止まってしまった。 原因は不明で、現在でも治療法は見つかっていない。 「じゃあ…不老不死?」 「残念ながらそうではない。確実に歳はとっておる。その証拠に最近は肩コリがひどくての」 少女が肩を押さえ、ポキポキと鳴らす姿に、セリカは何とも言えない表情を見せた。 そんなセリカにフェイスが声をかける。 「ああ見えて今年で還暦だそうだ。信じられるか?」 「か…還暦?」 「馬鹿者! 来年じゃ!」 ハルがフェイスの横っ面をはたいた。
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