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嫌な記憶が甦る。
フェイスとヴァイの両人に直接手錠をかけたのが、長官本人だった。
「こんな子供が…?」
セリカも言葉を失う。
少女は気を悪くした様子もなく、胸を張った。
「目から見える情報に囚われてはいかんぞ、お嬢さん。こう見えても中身は立派な大人じゃ」
小さな手をセリカに向かって差し出す。
「特殊警察庁長官のハルじゃ。よろしくな」
「どうも…」
ハルは一種の病気で、外見の年齢の頃に成長ホルモンが異常をきたし、成長そのものが止まってしまった。
原因は不明で、現在でも治療法は見つかっていない。
「じゃあ…不老不死?」
「残念ながらそうではない。確実に歳はとっておる。その証拠に最近は肩コリがひどくての」
少女が肩を押さえ、ポキポキと鳴らす姿に、セリカは何とも言えない表情を見せた。
そんなセリカにフェイスが声をかける。
「ああ見えて今年で還暦だそうだ。信じられるか?」
「か…還暦?」
「馬鹿者! 来年じゃ!」
ハルがフェイスの横っ面をはたいた。
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