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ノブを回し、扉を開けた。
ドアは、軋みながらも侵入を許す様に開く。
警戒しながら、中に入った――。
昔、ドアを開け、中に入った瞬間発砲された事がある。
その名残だ。
他には、ドアにワイヤーが仕掛けてあり、開けた瞬間、手榴弾のピンが抜けたりと、様々な歓迎を受けた事がある。
だが、勿論フェイクは生きている。
だから今、ここに存在している。
敵さんからの歓迎のもてなしを全て生き延びて来たのだ。
――とりあえず、手榴弾のピンが抜ける様な事は無さそうだ。
銃を持っている人間もいない。
だが、ドアの向こうに人間がいるのなら、フェイクは気付く事が出来る。
こちらに向けてくる『殺意』、つまり殺気を感じ取るからだ。
そしてそれは、どんなに抑え込んだとしても、フェイクに気付かれずに済ます事は出来ない。
玄関――を通り抜け、目の前の扉を開け、向かいの部屋へ歩いた。
――しかし、ここは日本ではないので土足で結構だ。
目指す部屋のすぐ右には、2階へ上がる為の階段があったが、まあそこは後でも良いだろう。
次の部屋は、いわゆる居間。
家族が団欒し、一番良く人が集まる場所。
多分、食事をするのもここだろう。
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