アラスカ

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――フェイクが塩の小瓶をポケットに持ち歩いていたのは職業上の理由だ。 こういう仕事をしていると、たまにサバイバルにもつれこむ事がある。 そういう時必要になってくるのが塩分だ。 生きる為に必要な物。 とりあえず人間は、水と塩があれば、2~3日は耐えられる。 持っているのはそんな理由だ。 しかし、フェイクが何日も何日もサバイバルをしなければならない仕事など、殆どないのだが……――。 結局、1日もあれば大体片付けて帰ってきてしまう。 塩が役に立った事なんて――、の時くらいしか。 ――2階に上がろうと、部屋を出る。 最後に、もう一度だけ振り返り、部屋を出た。 心の中で言葉を呟きながら……。 次は、階段へ足を運ぶ。 あまりしっかりと作られている階段ではない。 板を平行に打ち付けただけの様だからだ。 上がりながら正面が見える。 物置の様だった。 上へ上がると、左右2つのドア。 「迷ったら左手の法則。……だね。 先ずは左から」 そう考え、フェイクは左の扉を開けた。 そこに存在していたのは、生活空間とはかなりかけ離れた空間。 玩具や紙、クレヨンが散乱し、小さなベッドが1つあった。 どう見ても、子供部屋に他ならない。
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