アラスカ

9/75
前へ
/305ページ
次へ
「子供部屋か……。 まだ、小さかったんだろうな」 ベッドの大きさから、この家の子供の大きさが伺える。 恐らく、身長90cmくらいだろう。 一番やんちゃで、可愛らしい時期だ。 「何もないな。この部屋は。 今度は右の部屋へ行くか。迷ったら左なんだがなあ……」 部屋を見回しても、何か情報になりそうな物はない。 ここにいても無駄だ。 とりあえず、右の部屋へ移動する。 右の部屋は、書斎だった。 立ち並ぶ沢山の本棚。 アンティーク調の家具でコーディネートされた空間。 赤茶色の絨毯に、ウィスキーのボトルまであった。 明らかに、この部屋だけが抜きん出ている。 豪華絢爛、という4文字熟語には少し遠いかもしれないが、他の部屋より豪華なのは明白だった。 ここも、この世の黒い部分とはかけ離れていた。 とても、しずかで、とても、落ち着く。 黒い手袋を付けた手で、服を直しながら机に近付いた。 机を回り、引き出しの前へ行く。 木製の机だ。 光沢を持たせ、光らせている。 引き出しは椅子を中央にして、左右に3つずつ。 そして、更にそのどちらの上にも横に広い鍵付きの引き出しが付いていた。 とりあえず、下の左右3つずつの引き出しから見て行く事にした。
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加