第四章 帰省中

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第四章 帰省中

実家に帰ったおれを出迎えてくれた母は思ったより、元気そうだったがいくぶんやつれているように見えた。 家に上がり、東京での仕事や生活の事を母に根掘り葉掘り聞かれた。 それから母はご飯を作ってくれて久しぶりにお袋の味を堪能しなんだか懐かしい気分になったが、すぐにおれは地元の友達と遊びに行ってしまった。 案外元気そうだった母に少し安心したおれは連休はほとんど家には居らず、遊びに行ってしまっていた。最後の日は父と母とおれの三人で夕食を食べた。 母はおれが連休中あまり家に居なかった事をぼやいていた。 そのせいか、少し元気がないように見えた。 次の日の昼おれは東京に戻る時、母に昨日言われた事が気まずく思えて、母に素っ気なく「いってくるね。」 それでも母はいつものように優しくおれに『気をつけていくんよ。』       家で見る母の姿はこれが最後だった。
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