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それから私は毎日のように優樹の歌を聴きに行った。
『弘美!新曲だよ!』
優樹の歌は優しくて、背中を押してくれるものばかりだった。
「優樹は事務所とか入らないの?」
優樹はチューニングしながら言った
『入らないよ。』
「なんで?」
当然疑問を抱いた。
『俺は他の人の力は借りたくないんだよ。俺の力で夢を叶えたいんだよ。俺、小さい頃は音楽なんか興味なくてさ、でも親がギター買ってくれて、それから練習するようになってさ。親もびっくりしてたよ!なにせ飽きっぽい俺だからさ笑笑』
楽しそうに話す優樹。
「優樹の夢って?」
一呼吸おいて優樹は話し始めた。
『俺ね、沢山の人に認められたい訳じゃないんだ。一人でも俺の歌を聴いて何かを感じてもらいたい。それとね、皆に幸せになってもらいたいんだ。悲しいことも苦しいこともあるけどいつかは皆笑ってほしいんだ。一度きりの人生を精一杯生きてもらいたいのよ。』
目を輝かせて語る優樹。
私は死のうとしてた自分を責めた。
「そっか。いい夢だね。優樹なら叶うよ!!あたし応援してる!!」
つい声を張り上げた。
『おっ!さんきゅ★頑張るよ!』
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