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次の日の新聞の1面には、陽平の最後のシュートの写真が大きく載っていた。
何度見ても綺麗なシュートだ。
出場時間、約10分。それなのに、得点は35点。やっぱり陽平はエースだ。こんなシックスマンありえない。実際にいたんだが、いつもそう思ってしまう…。
陽平の抜けた俺たちは、インターハイ1回戦で105:57と大敗した。
陽平が初めて強いと言ったチームは、あっけなく負けてしまった。陽平がいたら、全国でどこまで行けたんだろう…たまに考えるときがある…。
陽平…陽平は俺に夢を見せてくれたのか?
俺は陽平に夢を見せてあげられたのか?
この答えはいつまでたっても出ない…。
「パパ~!!」
「あなた~!!もう行きましょ~。」
「あ~!!分かった。」
今日は陽平の10回忌。
「陽平…10年経って、俺にももう妻と子供ができた。時間の流れは早いな…。
あっ!!そうそう、子供の名前な…『陽平』って言うんだ。心の強い男になってほしいからな…。
じゃあまたな…。」
シックスマン…試合の流れを変える、スタメンじゃない6番目の選手。それは時として、人の心に強く刻まれる選手となる…。
~完~
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