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先輩が家の前まで送ってくれるとそこにちょうど母がでてきた。
母はわたしと先輩に気付くと驚いて「音、おかえりなさい。その方は?」
すこし不安な表情を浮かべた。
でも先輩は「はじめまして、音さんとお付き合いしている藤中翔太といいます」
そういって軽く会釈をした。
「そうですか―‐―藤中さん、音は体が弱いからあまり無理させないで下さいね」
「おかぁさん、そんな言い方―‐」
わたしが言いかけた時、先輩は肩をつかんで
「いいんだよ、音が心配なんだから。」
そういって笑って帰っていった。
―先輩―‐ごめんね・・
わたしは不安な顔している母をみながら部屋に入った。
家の中に入ってからすぐに母はわたしの部屋にきて
「音、ちょっといい?」・・・なんだろう?
まだ不安な顔をしている
母の不安な顔は苦手だった
わたしが小さい頃
よく入院したり
治療でいたくて泣いていたときによくみた顔
そう―‐不安な顔になるときはきまってわたしがつらい思いや
痛い思いをしていたからだ
胸が痛む―‐
わたしは頷いて母の隣に座った
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