宣告

3/3
前へ
/74ページ
次へ
指先から伝わる その手の先から その人の鼓動が伝わる わたしを守る 温かい手 目を開けて この人と話したい・・・ 瞼の向こうから ドアの開く音が聞こえた 「翔太くん、音についてて疲れたでしょ。少し休んできたら・・」 ―ママの声がした―‐ 「いえ、なんだか今日は音がかすかに手を握るんです。もしかしたら意識が戻るかもしれないから」 ―翔太・・・先輩の声―‐ やっぱりあたしの手を握っていたのは先輩だったんだ―‐ あたしはあのとき 倒れたんだ―‐ 「もう音が倒れてから二日になるしね。」 「・・・・だからもう少しここで・・」 「わたしが・・音をもっと強く産んであげられたら・・・・」 ママが泣いている―‐ そしてママは続けて言った 「こんなに頑張ってるのに・・・・長く持たない心臓なんて・・・」 わたしの塞ぎようのない耳に 貫いた言葉 命の宣告だった―――‐‐
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加