2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
『またね、流れ星がみえたんだよ』
彼女はそう呟く
食べられない金平糖を指で弾きながら
それは良かったと流すだけでも、
彼女は気にしない
『こうやって投げれば、即席流れ星っ』
あっ
と声をあげぬ間に
窓辺からは桃色の金平糖が落ちていった
『見えた?』
彼女は何時もよく解らない言動を取る
『あ』
?
『月が白いや…』
見上げた四角い空にはくっきりと真っ白な月が浮いていた
『キレイだね』
彼女の言葉に
ただ頷いた
長い沈黙が訪れる
『もう…いいよね?』
金平糖は手に握られたまま
『そっちに行っても、迎えてくれる?』
望まないよ
そんな事は…
でも
『置いてけぼりは…もう嫌なんだ…』
涙で滲んだまま微笑う彼女に
『先に逝かないでよ…』
オレの声は届かない…
彼女が袖で其れを拭う
『還りたい。月に、貴方に』
月は空なのに
『行こうか』
立ち上がる彼女と共に
窓辺から沢山の金平糖が落ちていった
彼女が創る流れ星に
オレは密かに願いを込めた…
最初のコメントを投稿しよう!