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その時だった。
プルルルル!
プルルルル!
「!」
不意に電話の音が鳴った。事件だ。
「はい、こちら刑事部捜査第一課」
秋元が電話に出る。
「…あぁ、わかった」
相槌をうつこともなく秋元はすぐに電話を切った。
「新宿警察署から我々と機動隊の応援要請だ」
「機動隊?」
「そうだ。現場は新宿天山会の事務所だ。おそらく組同士の抗争だろう。天山会は敵が多いからな」
新宿天山会は新宿歌舞伎町一帯をシマにする暴力団組織の一つで、組長の篠崎辰弥(しのざきたつや)は他の組の経営する宝石店や風俗店を襲撃し、売り上げを奪うなどの領分をわきまえない態度で多くの暴力団組織の反感を買っていた。
今回の抗争もそんな天山会のやり方に不満を爆発させた他の組が事務所を襲撃したのだろう。
「出動だ」
「はい!」
秋元の号令で紗恵を含む刑事部捜査第一課の面々が一斉に外へ駆け出した。
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