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小林紗恵は、稀にみる優秀な女性警察官であった。
地元・埼玉の警察学校を卒業後、紗恵はそのまま埼玉の警察署へと就職し、勤続僅か二ヶ月で優秀な女性警察官としての頭角をみるみる内に現し始めた。
紗恵は犯罪者を逮捕するためならば自らのプライベートをいくらでも犠牲にすることをい問わない、現代では珍しく正義感の強い女性警察官であり、彼女は警察学校時代に学んだ犯罪心理学やプロファイリングを捜査に取り入れるなど、警察官としての階級に囚われることなく、自らの持てる力を最大限に駆使し、犯罪捜査へと向き合った。
その紗恵による文字通りの執念の捜査の甲斐あって、埼玉警察署は全国で犯罪検挙率一位の組織にまでなったこともあった。
「しかし大臣殺害とは相変わらず大それたことをしやがるもんだ」
「…間違いなくヤツの仕業でしょうね」
紗恵は大臣殺害の犯人をほぼ断定していた。もはや今更言うまでもないほどに現在東京で同一犯のものと思われる殺人事件が多発していたのだ。
日本社会の様々な分野のビッグネームを主な標的とし、決して警察に尻尾を掴ませない非常に狡猾で警察に挑戦的な殺人犯。
警察やメディアはこの正体も動機も不明の殺人犯を「K」と呼んでいた。
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