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Kは殺害した死体にある極めて特徴的かつ異常な絵を残していく。仰向けの死体の背中から、死体の血で大きく描かれた蝶の羽の絵。
その羽は、血で描かれていることを考慮しなければ素人目に見ても非常に素晴らしい絵のタッチで、今にも蝶に見立てられた死体が息を吹き返し、その血の羽を広げて飛んでいきそうな、鮮やかで躍動感溢れる絵であった。
その蝶の羽の中に「K」と血文字で描かれていることから、警察が犯人をKと呼ぶようになった。
紗恵が埼玉の警察署から東京の警視庁へ移動したのは、この異常かつ残忍な殺人犯Kを何としても自分自らの手で逮捕したいという紗恵本人の強い希望からだった。
幸運なことに、埼玉での紗恵の実績を警視庁の上層部は以前から耳にしており、紗恵の移動願いを受理されるのは容易であった。
かくして、小林紗恵は警視庁刑事部捜査第一課の一員としてここにいる。
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