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「かな~、おはよ~」
クラスメイトの朝倉水樹(あさくらみずき)。香苗とは中学からの付き合いで親友だ。
「おはよ、水樹」
「進路票書いた~?」
「うん」
水樹は横から香苗の進路票を覗き込む。
「やっぱ首都大かぁ~。さすが優等生の目指すトコは違うよねぇ~」
「水樹は何て書いたの?」
「あたし?一応ぉ書いたんだけどさぁ…」
水樹の進路票を見ると、第一希望には「就職」の二文字しか書いてなかった。
「…あのぅ、何処にっていうのが記載されておりませんが?」
「ま、まぁ…就職って書いたけど…まだ就活しません、みたいな」
「面接の時、絶対先生にツッコまれると思うケド…?」
「とりあえず…卒業したらフリーターしながら夢見つけます!…じゃダメかなぁ~?」
「う~ん…」
「ま!何とかなるでしょ!あんま悩むとハゲそうだし!」
「何でハゲを出すのっていう…」
もうすぐ提出期限である朝のホームルームが始まる。
そんな中無邪気に笑う水樹を見て、香苗は感心と呆れの混ざった複雑な溜め息を吐くのだった。
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