一粒の雪

冬

あの日あの時、あの人に会っていなかったら私はどうなっていたんだろう…。

雪が降り続く中、私は泣いていた…。見知らぬ男性の前で…彼は泣きやむまで、ずっと側にいてくれた…。私が泣きやむのを確認して一言、言った…。

「君が何につまづいて、何に悩んでいるのかは、俺には分からない…。でも、考えてみて…世界の中の君の価値観を…。」

そういうと彼は立ち上がった…。

「また、会えたとき、答えを教えて上げる…」

彼は行ってしまった…名前も告げずに…空を向くとまだ、雪が降り続いていた…。だけど、私の心は少し暖かくなった気がする…。

その日から私は、毎日、あの場所に通った…。