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何故、自分が今ここにいるか…自分でも解らない。
あの日から雪は降っていない。前は雪を見るのもイヤだったのに…今は雪が待ち遠しく思う。
雪が降れば会える…そんな気がするから…
一週間…二週間…三週間…時間は無情にも過ぎていく…。雪も降っていない…。この町では雪は珍しいもので、雪はめったに降らない。
「…私は…何を期待してるんだろ…ははっ…バッカみたい…」
私はしゃがみ込んだ。…目が熱くなる…涙が一粒こぼれ落ちた…。
「ふっ…うっ…グス…」
寂しさで胸が一杯だった…。その時頬に何かが降りてきた…
「冷た…い…雪…?」
雪が降ってきた…。私は当たりを見渡した…。あの人は…いない…。また、涙が出て来た…。
「寂し…い」
「また、泣いてるの?」
私は…後ろを振り向いた…。あの日会った…あの人が、立っていた…。私は思わず、その人の胸に飛び込み、泣いた…。
「えっ…。ちょっ…何かあったのかい?」
ただ、泣いていた。あの日と同じように…
「ごめんなさい…。」
正気に戻った私は、とりあえず、謝った…。
「僕を待ってたの?」
「違う‼…た…またま…」
とっさのことで、私は嘘を付いてしまった…。その嘘を見破ったかのようにその人は微笑んだ。
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