4人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕の勘違いだったかな?」
その人は薄く笑いながら私に言った。私は下を向きながら小声で呟いた。
「待ってた。」
「やっぱりね。」
私は聞こえないように呟いたのだが、聞こえてたらしい。私は恥ずかしくなって顔を落としたまま黙った。
「何で、待っててくれたの?」
「聞いてない。」
「えっ?」
「この間言ってたでしょ?私の価値観」
その人は、「あぁ」と小さく呟いた。
「それが知りたかったのか。」
私は黙ったまま頷く。
「世界って広いようで狭いよね。人と人の繋がりとかさ…考えてみたら、すごく狭い。…僕らが出会えた事だって。」
「どういうこと?」
私は、その言葉の意味が分からなかった。
「だからね。この世界にあるのは必然という悪戯だけなんだよ。必然の中で僕らは出会う。その事に意味がある。」
「必…然…?」
「うん。君は…人と関わらずに生きていけると思う。」
最初のコメントを投稿しよう!