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――三年前――
舌打ちしながら校庭を歩く少年。
彼の名前は隼人。
黒道高校の一年生だ。
隼人は、父親と二人暮しをしている。
母親は、体が弱かったせいか隼人を産むと同時に他界した。
だから、隼人は母親の顔を覚えていない。
父親は、仕事はしているものの家では隼人にお金だけ渡し、あとは放任だ。
隼人には興味がないらしい。
そのせいか、隼人はだんだんとグレていった。
この日隼人は、喧嘩をして相手を殴ったから先生に呼び出されていた。
いや、連れ出されたという方が正しいかもしれない。
隼人は、毎日のように喧嘩やかつあげをしている。
なので、しょっちゅう先生に連れ出されては注意されている。
いくら言ってもなかなか止めないから先生達も隼人には手を焼いている。
今は、先生の説教が終わり帰るところだった。
すると、正門の辺りに人影が見える。
『健司…待ってたのか。』
健司とは、隼人の親友だ。
いつも二人で喧嘩をしている。
今回は、隼人一人の問題だから健司は呼び出されなかった。
『よぉ隼人。説教は終わったのか?』
健司はおちょくるように言った。
『あぁ。』
隼人はめんどくせぇ~と意を込めて言った。
『これから気晴らしにゲーセンでも行かねぇか?』
健司は笑いながら隼人を誘った。
『しょうがねぇ。行くか。』
隼人は頭をポリポリかきながら歩きだした。
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