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隼人は見覚えのない番号だったが電話に出た。
『もしもし。』
隼人は誰だか探るように言った。
『隼人君かい?』
聞き覚えのない声だ。
『そうだけど。アンタ誰?』
隼人はちょっとキレ気味の声音で応じる。
『あぁごめん。私は君のお父さんの同僚で木下という者だ。』
焦っているのか話すスピードがやや早めな木下。
『なんか用?』
隼人は訝しげに聞く。
『落ち着いて聞いてね隼人君。実は、君のお父さんが交通事故にあってしまって、今救急車で運ばれてるんだ。』
木下と名乗った人は父親の状況を説明してくれた。
『ふ~ん。』
隼人は興味なさげに言った。
『ふ~んって……君のお父さんが重体なんだぞ?』
木下は信じられないのだろう。
父親が重体なのに慌てるどころか他人みたいな口振りをする隼人を……
『あいつがどうなろうと俺には関係ないんで。』
と、言うと隼人は電話を切ってしまった。
電話を切る際、木下が電話の向こうでなんか言おうとしてたが隼人にはどうでもよかった。
『なんかあったのか?』
ちょっと先を歩いていた健司が隼人に聞いてきた。
『なんでもねぇよ。早くゲーセンに行こうぜ。』
隼人はそう言うとゲーセンに向かって走っていった…
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