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夕暮れの空…
オレンジ色に染められた雲を風が流している。
それはまるで、幕が閉じた舞台を綺麗に掃除し、次の舞台の準備に取りかかっているかのように見えた。
そんな空を一人ベランダで眺めていた。
何がそんな気持ちにさせたのか、意味もなく寂しさにノックしている自分がいた。
僕がベランダにいる理由。
あの日、君は僕から離れて行った。
離れていく理由なんて僕に教えてくれないまま行ってしまった。
僕の前から去る君のうしろ姿を見つめ、最後に言ったんだ。
「ずっと待ってるから…」
君はここから見る景色がとても好きで、よく2人で変わり行く季節を眺めていた。
そして君は、よくこんな事を口にしていたのも今でも覚えてるよ。
『明日、届く花はどんな色に咲くの?』
僕は、明日はどんな日になるのかと聞かれている様に感じていた。
今では、僕もそんな風に空を眺めながら問い掛けてる事がよくある。
あたたかく居心地のいい場所。
いつまでもこの陽だまりに留まりながら、このベランダで君が来るのを待ってる。
君が来たとき、ここからならすぐに分かるから。
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