力を畏れる者、力に溺れる者

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その時、羅刹は初めて僕に興味を示したようだった。 「…小僧、なかなかいい具合に心が濁りだしているな。俺に恨みでもあるようだが?」 「……濁ってる?」 心が…濁る? 羅刹は僕の言葉を無視して何事かを思案している。 「…いいだろう。お前にも楽しませて貰う事にしよう。……2日後の夜に、あの学校に来い。そこの女もだ。隠しているようだが、俺には無駄だぞ。」 羅刹は勝手に決めた後、薫を指差した。 「え……?」 僕は薫を見る。 困惑で怒りが薄れた。 薫は一瞬驚いて、…怯えるように耳を両手で包んだ。 「…止めて……優真の前で言わないで…。……お願い。」 薫は泣いているようだった。 「……薫?」 …何? 何なんだ? どうなってるんだよ? 「来なかったら…貴様らの周りの人間どもで暇つぶしをさせて貰うぞ。」 羅刹は最後にそう言うと、背を向けて歩き出した。 でも…僕は追えなかった。 薫が心配で…。 本当は、あいつが怖くて…。 「くそッ!!…何なんだよッ!?訳分かんないよッ!!」 僕は叫んでいた。 僕らの周りの人が、僕らのせいで危険な目にあうかもしれない…。 それに、…薫。 薫も力を持ってる…? しかも、自覚があるのか…? 分からない。 薫の秘密…。 僕の心…。 僕の力の使い道…。 僕は……どうすればいいんだろう…。 真夜……やっぱり、僕には分かんないよ……。
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