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その後、僕らはイリスさんの提案で、家に薫も連れて行く事にした。
羅刹の言う事を真に受けて、明後日まで何も無いと思い込むのは危険すぎる。
幸い、薫はすぐに納得してくれた。
薫は多分、自分の事を僕らに話す為にも集まったほうがいいと思ったんだろう。
僕も……話そう。
4年前のあの事件を…。
僕が魔王になることが決まった、悲しい出来事を。
もう隠していられないだろうから。
ナンナとイリスさんは一旦魔界に戻るそうだ。
何でも……こういう時に着る服を持ってくるとか。
……そんなん要るの?
それに、今まで行くつもり無かったから気にしなかったけど…いったいどうやってこっちの世界に来てるんだろう?
厄介事が片付いたら聞いてみよう。
「――ただいまっ!父さん!母さん!居るっ?」
僕はドタバタと、薫の手を引きながら家に上がる。
今出来る事。
第一に羅刹の正体。
第二に羅刹の目的。
その他できれば弱点などなど。
こういった事は、僕の親に聞くのが一番いい方法だろう。
「何だい優真?帰って来ていきなり騒々しい。」
父さんがリビングの入り口からひょっこり顔を出している。
僕は、薫とリビングに向かった。
……そう言えば、薫がイヤに静かだな。
いつもだったら文句タラタラなのに。
「おやっ?…とうとう薫ちゃんにまで手を出したのかい?う~む、我が息子ながら男の風上にも置けない奴…。」
そう言って、父さんは渋い顔をする。
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