10690人が本棚に入れています
本棚に追加
日を追うごとに、『銀』の人気は高まっていった。
身分を盾に酔って暴れたり、若い娘に手を出そうとした貴族の子弟達は縛り上げられ、罪を告発する文章と共に道端に転がされた。
「またか……」
夜道を見回っていた蒼祥葵は、路地裏に転がった男達を見下ろし、額を押さえた。
『銀を捕らえよ』
彼は昨日、上司からそう命を受けた。
『銀』のやっていることは間違ってはいない。(やり方は乱暴だが)
貴族の横暴は目に余るものがある。
それでも、祥葵は『銀』を捕らえねばならなかった。
(李家や羅(ルォン)家より先に―――)
「そこの馬鹿共を連れていけ」
祥葵は部下に命じ、闇の向こうを見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!