「正体」

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日を追うごとに、『銀』の人気は高まっていった。 身分を盾に酔って暴れたり、若い娘に手を出そうとした貴族の子弟達は縛り上げられ、罪を告発する文章と共に道端に転がされた。 「またか……」 夜道を見回っていた蒼祥葵は、路地裏に転がった男達を見下ろし、額を押さえた。 『銀を捕らえよ』 彼は昨日、上司からそう命を受けた。 『銀』のやっていることは間違ってはいない。(やり方は乱暴だが) 貴族の横暴は目に余るものがある。 それでも、祥葵は『銀』を捕らえねばならなかった。 (李家や羅(ルォン)家より先に―――) 「そこの馬鹿共を連れていけ」 祥葵は部下に命じ、闇の向こうを見つめた。
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