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「また……」
皐秀から恭しく渡された文を開き、彗は目を眇めた。
中には一言
『嫁になれ』
と書かれている。
角楼で和解(?)して以来、王は毎日のように文をよこした。
『今夜の月は綺麗だ』だの『虹を見た』だの『昨夜夢で彗に会った』だの……
普通の女なら感動するだろうまめまめしさだが、彗は
(ふざけてんの……?)
としか思わなかった。
「どうかした?」
「ううん、何でもないよ」
彗は文を丸め、躊躇なく屑籠に放り込む。
王に同情しつつ、舜期はそっと息をついた。
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