「正体」

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「『銀』に叩きのめされた貴族子弟は十数人。小柄で身が軽く、幼い少年と思われるが正体は不明。短剣を使い、実践的な拳を使う」 祥葵は、報告書を読んでため息をつく。 こんなにも目立つ活動をしていながら、銀は捕まらない。 理由のひとつは、民衆が『銀』の盾となっていること。 彼等は役人に、『銀』に関するどんな情報も漏らさない。 そしてもうひとつ。 祥葵はここ数日、街中に部下を配置し、『銀』の動きを追った。 『銀』は決まって、都を貫く朱雀大路の西、旧市街の複雑な路地に姿を消す。 祥葵達はその先を追うことが出来なかった。 (『銀』は何処へ姿を消すのか……) そこに重要な『秘密』がある気がする。 李家や、羅家も動き出している。彼等に捕らえられれば、どんな目に遭わされるかわからない。 (何としても、彼等より先に捕らえなければ……) 祥葵は地図を広げ、数ヶ所に印をつけた。
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