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「そう言えば……また出たそうですわ、銀」
「カッコイイわよねぇ~神出鬼没、街で暴れる馬鹿共を縛り上げてるんでしょっ?」
彗は空の湯飲みを口にしたまま視線を落とす。
「まだ幼い少年らしいですわ」
「見てみたいなぁ」
朱嬰は好奇心を刺激され、ウズウズしている。
「……このまま放っておかないよ、軍も……何より李家や羅家が」
「えっ……?」
「どういうこと?軍ていうのは分かるけど……」
「麗江の都で暴れてるのは、主に李(リ)家や羅(ルォン)家の子弟だ。身内がやられて黙ってる程物分かりよくないからな……自分達に非があっても必ず『銀』を捕らえようと動いてくる。軍に捕まるならまだいいが、李家や羅家に捕まったらどんな目に遭うか…きっと、ただでは殺さない」
朱嬰が息をのむ。
彗は視線を感じて顔を上げた。舜期の黒い瞳が、真っすぐに見つめている。
何故か目をそらせない。そらしたら、何かが崩れそうな気がして……
「どうしたの?」
無言で見つめ合う二人に、朱嬰が声を上げた。
「何でもないよ」
舜期がにっこり笑う。
絶妙な合いの手だ。
呪縛を解かれた彗は、ほっと息をついて席を立った。
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