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「男じゃなければいいのか? 智樹」
「まあ、そうですけど…………それでも、節度ってものがありますよ」
突如背後から聞こえてきた声と肩に掛かる重み。
決して背後霊の類(たぐい)ではないのだが、肩に掛かる柔らかいものは重量感バッチリである。
「ほれ、お前の大好きな巨乳ちゃんだぞ」
楽しそうに声を上げ、俺の頬に膨らみを押し付けてくるが、女としての恥じらいって言うのはないのだろうか?
「別に好きでも嫌いでもありませんよ。それより、重いので退けてくれませんか?」
「相変わらず面白い反応をするヤツだな、智樹は」
ケラケラと笑いながら俺の前に回りこんで来た女の子。
いや、女の子なのは外見だけで中身は俺より男らしいから、膨らみを押し付けても恥じらいがないのだろう。
「遅刻ですよ、副部長」
「いや、すまん。ちょっとそこで女の子に掴まって道案内を――」
「それ、部長も言ってました」
と、床でぐずっている変態を指差す。
「ちっ……こいつと一緒っていうのは嫌だな。って、何覗いてんだっ!」
「真っ白レースのセクシーパン――ぐふっ」
見事な足蹴が顔面にクリーンヒット。
床と熱烈なキスをした後頭部が鈍い音を立て、そのまま天に召されていく部長に十字を切って冥福を祈った。
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