第一話:こんな人達ばかりです。

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「はうっ――伏峰(ふしみね)先輩に見られたあっ」  このパンツ丸見え少女は梅津律子(うめづりつこ)、このクラブ唯一の一年生である。  セミショートの髪に丸く子犬のような円らな瞳、小さく可愛らしい唇、と小柄で守ってあげたくなるオーラを醸し出しているが、二つの膨らみはそれなりに立派で、加えてお尻は見事な安産型である。  それと、「ドジっ子スキルを標準装備している」と部長が太鼓判を押した猛者で本当に何もないところでよく転ぶ。その度にスカートを全開にするものだから、男子生徒からの人気も高い。  まあ、どっち方面で人気があるのかは俺の口からは言えないけど。 「いつも見られてるわけだし、気にしない、気にしない」 「そ、そんな事ないですよっ! 毎日、パンツは変えていたって恥ずかしいものは恥ずかしいですっ」 「なら、勝負パンツを穿いて智樹を誘ってみるってどうだい?」 「そ、そんな事は――」  全力で副部長に挑んでいく律子ちゃん。このやり取りも毎日見ているので別に止める気はないけど、その辺でやめてくれないと俺も会話に参加し難いのですけど。 「りっちゃんの花柄パンツっ」 「お前は黙ってろっ」 「ふげしっ」  復活一秒にして、瞬殺。  哀れなり……部長。なんて微塵も思わない俺も結構酷いヤツかも。 「それじゃ、みんな揃ったので始めましょうか」 「そうね。こんなヤツはほっといて」  問答無用に部長のお腹に蹴りを入れて椅子に座る副部長。まあ、いつもの光景だから気にもしないけど、よく生きていられるよな、あの人も。 「こほんっ――それでは」  咳払いを一つして俺と律子ちゃんを交互に見た副部長は―― 「電脳革命クラブ、本日の活動を開始します」  高らかに宣言していた。  しかし、一年間在籍しているけど、このクラブって一体何をするんだろうな……謎だ。
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