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お姫様抱っこの状態で朔哉に運ばれて来た悠を見た屋敷の者達は驚きを隠せなかった。
「悠!?」
その中でも一際驚いていたのが、帝であった。
「主上? 何故私の屋敷に?」
「そなたの体調が良くないと陽那に聞いてな。様子を見に来たのじゃが…」
朝、悠の体調の悪さに気が付いた陽那が、悠に気付かれぬように帝に伝えに行っていたのだ。
「ご心配をおかけ致しました。もう大丈夫です」
朔哉の腕から降り、帝にそう告げる悠。
悠の体調はいまだに回復していない。
むしろ朝より悪化している。
「何が大丈夫なものか」
ベシッと朔哉に額を弾かれ、痛みに思わず額を押さえ、うずくまる悠。
「~~~~~~~っ何をする!?」
「お前がまた無茶をするからだろう」
「私は無茶など―――っ!?」
反論を防ぐように悠の口を手で塞ぎ、暴れる彼女を先程のようによいしょと抱き上げる朔哉。
「主上。彼女の風邪はまだ治っておりません。今日の妖怪退治は止めさせ、部屋で休ませてもよろしいでしょうか?」
「…そうじゃな。悠、そなたは今日と明日の仕事は全て休め。風邪を完治させるんじゃ」
帝の勅命では仕方がない。
悠はそう諦め、朔哉の腕の中で大人しく頷いた。
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