第三章 - 名前 -

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「名前で呼ぶというのはそんなに重要か?」 「そう来たか…。なら、悠は名前で呼ばれなくてもいいと?」 「…私を名前で呼ぶのはこの子達と帝だけだ」 この子達…式神の陰夜と陽那。 そして帝。 自分を“悠”と呼ぶのは3人だけ。 女中も兵も、ほかの者も、皆口だけでは“悠”と呼ぶが、心の中では“人形”と呼んでいる。 心から名前で呼んでくれるのは3人だけ……… (…3人? 本当に3人だった? まだ誰かいたような………) ―――――悠。 ―――――悠ちゃん。 (? 今誰かに呼ばれた?) 悠は、男の人と女の人に名前を呼ばれたような気がして、辺りをサッと見回した。 だが、周辺には自分達以外誰もいなかった。 (……気のせいか?)
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