第四章 - 脅し -

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「…それより、いい加減に体を起こしたい」 「俺のことを名前で呼べば、起こしてやろう」 朔哉の顔は、とても楽しそうだった。 (本当に性格悪……) 陰夜のツッコミは止まらない。 「…………………………………朔哉」 「何だ?」 「起きたい。どけ」 「…命の恩人に言う台詞か?」 「別に倒れた位で死にはしない」 「意地っ張りだな。…ん? 悠。お前熱があるんじゃないか?」 「……熱?」 そういえば朝から微熱があったなと、悠が思い返していると、自分の顔に影がかかったのに気が付いた。 「…?」 それと同時に、額に自分のではない温かさを感じた。 「やはり…。かなら熱いぞ。風邪だな」 額に感じた温かみは朔哉の額だった。 目の前にあるのは朔哉の整った顔。 彼の顔を見た途端、悠は自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。 (何故急に鼓動が早くなる?) ―――その理由は分かっていないが。
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