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「…それより、いい加減に体を起こしたい」
「俺のことを名前で呼べば、起こしてやろう」
朔哉の顔は、とても楽しそうだった。
(本当に性格悪……)
陰夜のツッコミは止まらない。
「…………………………………朔哉」
「何だ?」
「起きたい。どけ」
「…命の恩人に言う台詞か?」
「別に倒れた位で死にはしない」
「意地っ張りだな。…ん? 悠。お前熱があるんじゃないか?」
「……熱?」
そういえば朝から微熱があったなと、悠が思い返していると、自分の顔に影がかかったのに気が付いた。
「…?」
それと同時に、額に自分のではない温かさを感じた。
「やはり…。かなら熱いぞ。風邪だな」
額に感じた温かみは朔哉の額だった。
目の前にあるのは朔哉の整った顔。
彼の顔を見た途端、悠は自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
(何故急に鼓動が早くなる?)
―――その理由は分かっていないが。
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