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「風邪をひいているのにこんな所まで何をしに来たんだ?」
「妖怪を退治しに…」
妖怪――朔哉を退治しに。
「また妖怪退治か…。働き過ぎは体に毒だ。今日はもう帰って寝ろ」
そう言うなり、悠の返事も聞かずに朔哉は彼女の体を抱き上げた。
「なっ!?」
悠は突然体を抱き上げられ、思わず声を上げた。
「な、何を…!」
「お前は帰れと言ったところで素直に帰らないだろう? だから俺が連れて行く」
悠に返事をしながらもスタスタと歩いて行く朔哉。
陰夜はそんな朔哉に1つ忠告をした。
『お前、その格好で行ったら大騒ぎだぞ』
朔哉は金髪金目。それに加え獣耳。
そんな容姿の人間はいない。
村の人間が見たら、「妖怪だっ!」と、大騒ぎになるだろう。
「それなら心配ない」
朔哉はにっこりと余裕の笑みを浮かべ、呪文のような言葉を唱えた。
すると、淡い光が朔哉を包み込み、光が消えると朔哉の髪と目は黒色になっており、耳も人間の耳になっていた。
「これなら人間と変わりはないだろう?」
『……まぁな』
この容姿では陰夜も文句は言えないが、もう1つ大きな問題があった。
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