第五章 - 強制送還 -

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「…悠は感情を無くしたのじゃ」 「感情を無くした?」 「悠は7歳位の頃からあまり感情を表に出さなくなってな…。今では感情どころか表情すらない…“人形”のようになっての…。悠のことを“戦闘人形”などと呼ぶ輩もいる」 「………“戦闘人形”?」 (確かに表情が少ない子だなと思ってはいたが……) 「だからそなた達がいつ頃からの知り合いか気になっての。そうか…昨日知り合ったばかりか…」 「何故気になられたのです?」 「…このわしでさえ、悠のあの様な表情は久しく見ていない。先程の悠は10年前のあの子となんら変わりなかった」 「10年前…?」 「笑っていたのだよ。10年前のあの日までは、確かに。」 「…10年前に何かあったのですか?」 「…10年前、悠の両親があの子の目の前で妖怪に殺されたのじゃ」 「!」 全ては10年前のあの日から。
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