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「えっ…。」
何て言えばいいんだろう。目の前に本人が立っていて。
「…お客さん?」
お客!?
お店じゃないんだから。
…でも、この人見た目は…
「カッコいい…。」
「は?」
ぎゃ!口に出ちゃった!
「あ、あの!私お客さんじゃないんですっ!」
慌てて話を反らす。
淡い栗色の長髪。
背は私よりかなり高くて。…綺麗な顔立ち。
女の子みたいに目が大きい。
「ふーん。…で?」
で?って…。
噂の本人は椅子に腰を下ろし、頬杖をつきながら面倒くさそうに言った。
「何しにきたの?」
「…何しに…。」
あぁ。
そんなに見つめないで下さい。
困ります…。
私はスカートについたホコリをはらい、机の前に立った。
「そのっ…。」
「何?」
うぅ…。何て言えば…。
「じ…じゃんけんで負けちゃって…。」
「じゃんけん?」
きゃーっ!!
話さなくていい事をっ!
「ば、罰ゲームで…!ここの謎の部に行ってこいって。」
失礼だろう。かなり失礼だろう!
私、最低だ…。
変な目で見られてるんだろうと思い、恐る恐る噂の本人を見る。
本人は…
「あはは!へぇ、それじゃ君…。この部に興味あるの?」
「へ?」
爽やかな笑顔。
…なんか雰囲気がさっきと違う。
「…あ、はい。まぁ…。」
「じゃっ!色々と話聞かせてあげるよ。」
「へ?」
噂の本人は椅子から立ち、手招きをした。
来いって事…?
素直に私は噂の本人に近づく。
「よし、入って。」
「え!?」
いや、できればもう帰りたいんですけど。
一刻も早くこの場から立ち去りたいんですけど。
「興味あるんでしょ?教えてあげるよ♪」
「いや!遠慮しま…」
「ね?」
…こ、この威圧感はっ…!
しかも、断ったら何されるかわかんない。
…
「お…お話…聞かせて下さい…。」
こんなハズじゃなかったのに!
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