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「落ち着け!高田!」
井出に何度そう言われたのだろう。ふと高田は我にかえった。
そして涙を浮かべて高田は井出に言った。
「妹なんです。俺の妹なんです」
それを聞いた井出はどうしていいか解らない表情になる。なんて言葉をかけていいのか考えても考えても答えがでないのだろう。
「高田…」
「何でこんなことに…」
「犯人を絶対に捕まえるぞ」
その言葉を聞いた高田は自分が刑事であることを思い出した。そして心に誓った。
犯人は必ず俺の手で捕まえる。と…。
信号待ちをしている二人に少しの沈黙が流れたあとに高田はユックリと香野に五年前の妹の事件を話した。
香野の表情もまた五年前の井出と同じ表情になる。
「そうだったんですか。だから長谷川は高田さんを選んだのかもしれませんね…長谷川を憎む高田さんの気持ちをもてあそんでいるんですね」
「そうかもしれませんね。長谷川とゆう男なら平気でそうゆうことをしそうですね」
「長谷川は必ず捕まえます。高田さんにひとつ約束してほしいことがあるんです」
「なんですか?」
「長谷川を殺さないと約束してください」
「俺はかりにも刑事ですよ。長谷川を捕まえて裁きを受けさせるつもりです。殺すなんてことしませんよ」
「その言葉を聞いて安心しました」
俺は妹のことを香野に話せたことで、少しだけ気分が晴れたきがした。
ふと信号をみると青になっていた。
「香野さん、さぁ行きましょう」
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