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俺と香野に緊張が走る。
香野はそれを振り払うように言葉を口にした。
「今どこにいるんですか?」
「さあ…どこでしょうね?探偵さんならわかるんじゃないですか?」
「解らないから聞いているんですよ長谷川さん」
そのときだった。電話のむこうから聞いたことのあるメロディーがきこえてきた。
このメロディーは駅前の時計台が3時になったときに流れる音楽だ!
俺がそれに気付くと同時に香野もそれに気付いた。
そしてその音楽が流れたとたんに電話は切れてしまった。俺と香野は走りだしていた。
駅前までは歩いて20分はかかる。だが走れば10分ほどで着くはずだ。
俺は体力には自信があった。だがその自信はすぐに消えた。
前を走る香野の姿が徐々に小さくなっていく。俺は香野においていかれていた。香野が角を左にまがった。俺もそれに続き左にまがる。
だが曲がりおえると香野の姿はなかった。完全に振り切られてしまったのだ。
俺はそれに驚きながらも全力で駅前を目指した。
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